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珍しいことこの上ない上に失敗した感ひしひし。
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周囲は熱だけで焼き尽くしてしまいそうな炎が燃え盛る広場と化していた。
瓦礫が音を立てて崩れていく中、比較的高く据えられた岩の集合体の上部に鎮座した、
傾いた傷だらけの玉座に座る、暗藍色の身体が揺れていた。

「……ここをこんなにしちまったのは、アンタなのか?」
「そうだ。……と、言ったら?」

クツクツと、嘲笑に近い微笑みを浮かべたソニックの表情は、さながら絶対王政に君臨しているか、それとも恐怖政治で抑えつけた世界を構成する王のようで薄ら寒ささえ感じさせた。
これがあのソニックなのか、なんて疑問は今更だ。
少し低くなっていて、その言葉の端々には怒気が含まれてはいるが、その声音はソニック以外の何者のものでもなかった。
どうしてなんて聞いても、納得できるような満足な回答は得られないだろう。
それよりも炎に包まれたこの小さな世界が、壊れきった自分の生まれ育った環境に重ね合わされてフラッシュバックにも似た吐き気を含んで脳髄が沸騰しそうだ。
誰も生きることなんてできない、荒野の世界。

もうあんなのは懲り懲りだ。

「悪いけど、オレはアンタを認めるわけにはいかないんだ」
「そうかい。それじゃあ力尽くで止めてみな!」

ソニックの指に、今更ながらに載せられていた指輪が指先に弾かれて宙に舞う。

さあ、殺し合いの始まりだ。



誰も入ることを許さない王宮魔術師のマリーナの私室。
魔法のことや、祖父に口で伝えられたものを必死で書き写した羊皮紙の束。
鮮やかな宝玉には淡い光が灯されて、使われる時を今か今かと待ちわびているようだった。
床に書き散らした魔法陣の数々。幼い頃に刻みつけたそれは消え去ることもなく未だそこに魔法の片鱗を残していた。
失敗作の数々の中に僅かに残る、鮮やかな記憶の棺達。




ふわり、と淡い光を体に帯びながら、幼い少女の姿が後ろの家具を透かしながら現れる。
月色の髪、ミルク色の肌。サファイアとラピスラズリを織り交ぜたような深い群青は、
透き通った体にも関わらず吸い込まれてしまいそうなほどに光を湛えて輝きを見せる。

「また来たの…?此処に貴女の居場所はないのよ?」
“わかってるわ。でも、此処に来れば見れるんだもの”

声帯を震わせて発しているわけではない、その少女の声。
鈴を転がすような、耳に心地よいその歌声は、大量の哀しみを帯びて今にも溶けてしまいそうだった。
黄泉の軍団、あまりにも対極な存在の中から現れた、たった一つの光。
無念に囚われるでもなく、憎しみに心を染めるでもなく。
哀しみに彩られてはいても、全てを許しきっているその存在は、自分には眩しすぎるものだった。

「これから、私がすることを知っていて止めないの?」
“だって、止めようとしたって貴女はやめないんでしょう?”
闇から伸びたその光が、部屋の小さな窓まで寄っていく。
彼女も光を帯びているのに、太陽に触れられないのと少し遠巻きに窓の向こうを眺めようとする。

その先に存在している者は、明白と言えば明白で。

「…私の計画が進んだら、もしかしたら彼に二度と逢えなくなるかもしれないのに、それでもいいの?」
“いいわ。だって、きっとわたしのことを知ったら、彼は……”

それ以上の言葉が紡がれることは無かった。
狭い部屋に溢れるのは、哀しみの旋律。




わたしのことなんて忘れて、彼の人生を送ってくれればいいの。
最期にお願いをしてしまったけど、あんなもの、忘れてくれたって構わないの。
彼が彼であったのなら、それで。










誰にも知られずに、一陣の風が、吹く。









よくわかんないものに仕上がりました。
大人向けなのでたたみますよー





ちょこっと大人向け(に、なってない)

でも気恥ずかしいので隠しますー















月日が流れるのは早いものだと、今更ながらに思い知らされる。
あの時ほんの少しだけ言葉を交わした相手は、今や世界の英雄と肩を並べる存在になっていた。
自由奔放な青色のハリネズミとは正反対に、その名前の如く表立って行動するような人物ではなく、
新聞にもニュースにも、その名前があげられることなど皆無に等しい。



それでも、自分は知っていた。

否、覚えている。

彼がどんな選択を行って、どんな道を歩んで来たのかを。






「なあ、シャドウ……お前さんは、今のこの暮らしに満足してるのかい?」

再会したのは、偶然と言っても過言では無かった。自分も相手も、丁度同じ場所に居合わせただけ。
街の少し郊外に鎮座する、知る人ぞ知る小さなカフェ。
まさか出会うとも思わなかった存在に出会った瞬間の相手の凍り付いたような表情は、
いっそ写真に撮っておけば良かったと今更後悔が浮かんだ。
きっとソニックに見せたら、腹を抱えて笑い転げるだろうに。

平静を装っている相手のテーブルには、今月の新作と香り高いアールグレイ。
片や自分と言えば、既におなじみとなった珈琲一杯だけ。
そのあまりの違いに、苦笑すら浮かんでくる。
こちらの質問にもならない問いかけに、相手は少々眉を顰めた。
傾けていたカップをソーサーに置く仕草は優雅だった。カチャリ、と陶器が涼やかに触れ合う。



「………満足もなにも、これは僕自身の意志で決めたことだ。
たとえGUNの実験動物だと、狗だと罵られようとも」
「しっかし……人類のことを一番考えてるのは、お前さんだと思うんだがなぁ」

未だに戦争の報道が消えることはない。
その血腥い場所に立ち尽くしているその漆黒の姿は、その身に纏う紅よりも赤い深紅に染まるのだろう。
落ちきらないその香りと、いくら拭っても消えない血液の痕跡。
それらを一番厭っている存在が、絶対的な力でもって他人の命を奪うのか。

……やりきれない。
きっと自分なら、初めから放り投げてしまうだろう。
自分の身が可愛くない奴など、世界中何処を探しても存在しない。
その役目をあえて引き受けるこの男のその覚悟は、どれほどだったのだろう。

「…用がないのなら失礼させてもらう」
「……また、行くのか」
「仕方ない、これが、役目だというのなら。
僕の意志で、それに従っているのだから」

遠くなってしまった、とひとりごちる。






冷えたカップの中身を口にすれば、
臓腑に苦みが染み渡っていった。






ちょこっとおとなむけですよ。 そしてBL風味ですよ。そんなにエロくないんですが下げますよ。
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