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たたむよたたむよ!








ひとつ、ふたつ、みっつ。
柔らかな羽毛が降り積もる。
白に塗り潰された世界の中心に、
漆黒の花が咲き誇る。


繋がった箇所は既に溶け合って、境界など消えて無くなっていた。
僅かに腰を揺らめかせれば、脊髄を通り抜けて直接脳に響き渡るその音色。
もっと欲しいと求めようとしてしまう。指先が迷いを帯びて宙を彷徨った。

「…シャドウ」

普段のお調子者の様子からはあまり想像ができない、少しトーンを落とした色香を含んだ低い声が僕の名前を呼んではその声が空気に溶けていく。
その声が好きだ、と無意識に考えがそこへと辿り着いてしまう。もっと聞いていたくて、うわ言のように相手の名前を口にした。
柔らかな緑柱石の凪いだ光が、キラキラと星のように輝いては点滅を繰り返していた。

「な、シャドウ……動いていいか?」
「ちょっと、待て………今、なんかいめ、だと」

サイドボードに緩やかに視線を巡らせれば、既に何度長針が回転したのかもわからなくなっていた。
久しぶりに身体を重ねたと思えば、際限なく貪ってくる相手の獣じみた性欲に押され気味である。
普段ならこんなことは無かった筈なのに、今日に限ってどうしたことだろう。

「…ソニック、今日は、どうしたんだ……?」
「んー……ただ、ずっとシャドウとこうしていたいだけ」

瞳を覗き込もうとすれば、指が絡まって互いの距離が縮まった。
顔が見えなくなってしまう。今彼はどんな表情を浮かべているのだろうか。
それすら解らなくなって、不安感が募ってくる。
緩やかなグラインドが、僕の答えを聞く前に始まってしまった。快楽を産み出すそこが痺れを呼び起こして脳が溶けていく。
意識がそこ以外に向かなくなってしまう。嫌だ、彼を、もっとちゃんと彼を見ていたいのに。
意識を手放したくないのに、既に幾度と解らなくなったそれを迎えれば否応無しに気だるさが襲って来て、心地よい眠りに誘おうと手招きを始める。
寧ろ相手は僕が眠ってしまうことを望んでいるかのようだった。
思い通りになるものか、とシーツを握り締めれば、きらりと煌きを見せたエメラルド色が輝きを増して動きに激しさが増した。

「っ、あぁ、そに、っく……!
ふっ、…あ、あぁ、っ………ー!!」

敏感になってしまったそこは際限を知らなかった。
既に限界を突破していた理性はあっけなく瓦解して意識を手放す。
視界が真っ黒に塗り潰される直前、満足気で柔らかな笑みを浮かべた相手の表情が見えた、気がした。










小鳥のさえずりが、覚醒を促していく。
腰に特有の重さを感じながら僅かに身体を引き起こせば、隣に居る筈の存在は既に出発した後だったらしい。
自分以外の体温を感じられない布団に、大分前に出て行ったことを否応無しに感じさせられる。

なにかあったのだろうか、とついマイナスの方向へと意識が向かっていってしまう。
昨日のあれは気まぐれな彼の最後の優しさだったのだろうか、とも。

兎に角身を清めなければ、と起き上がろうとした瞬間、かさり、と乾いた感触が指先に触れた。

「………?」

そこに置かれていたのは、小さな紙のようだった。
裏を返せば、そこには……








ふたりぶんの笑顔が、彼の筆跡と共に。





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