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力がほしいと思った。
彼女をあらゆるものから守りたいと思った。
病からも孤独からも運命からも、薄暗い世界からも、守りたいと思った。

「シャドウ……」
神々しいまでの輝きに包まれた手を、そっと、何時も通りの血管さえ透ける雪色肌が覆う。
彼女の細い指先に比べ、大きく広い掌で握り返す。
「マリア」
マリアの青く澄んだ瞳に、力強く恒星のように輝く己の姿を確かめる。
君を守るための力。君のための力。
光をまとったこの誇らしい僕を見てくれ。
「マヨネーズ……」
「何を言っているんだ」
「ああ、マヨネーズが食べたい……」
ぺたぺたとマリアが腕を撫で始めた。
「脂質も卵アレルギーも知らない。ああ、マヨネーズが食べたい」
病による食事制限は一ヶ月以上も続いていた。マリアがぺたぺたと撫でてくる。
「まよねーずぅ……」
「ははっ…! やめろマリア! くすぐったい!!」
金色の被毛に指先がもぐる。ふわふわとくすぐる。地肌がくすぐったさで震える。
身をよじり抜け出すと、悪戯っぽく青い瞳が細くなった。
「怖い顔してた」
鼻先を親指と人差し指で摘み、マリアが笑う。
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