忍者ブログ
新しいカテゴリーに名前を登録後、自分の作品投稿の際にカテゴリーをつけてください。 題名には、キャラとお題も入れてください。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

トルネードの整備を終えて顔を上げると、ソニックが居た。あれ、どうしてここに居るの? と尋ねかけて、やめる。自由気ままなソニックの事だ。越えたかったからとか、そんな理由で時空を超えてきたに違いない。過去の時代のソニックは、トルネードの上からボクのことをじっと見ている。

「整備も終わったし、これから飛ぼうと思うんだけど」

そう言うとソニックは羽の上に飛び移った。ついてくるつもりらしい。テストを兼ねているから一人で飛ぼうと思ったんだけど、わざわざ時間を越えて来てくれたんだ、このぐらいのサービスはしないとね。

「ちょっと荒れるかもしれないよ……!」

そして、その日のフライトは今まで類を見ないほど、スリル満点のものとなった。海の上で目一杯叫びながら飛んで、なんとか元の場所に戻ってきたときには、冷や汗と動機でどうにかなったかと。気が抜けて、息を吐きながら操縦席に倒れ込んだボクの上に、何か甘い香りのするものが降ってきた。ゆっくり起き上がって確かめると、色鮮やかな花びら。目線だけ上にあげると、ソニックは満足げな顔でボクを見ていた。その表情で、この花びらの意味が分かる。楽しかったなら、よかったけどさ。
PR
 「旅のお方ですか?」

湖の畔で釣り糸を垂らす人影に、マリーナは声をかける。身を潜めると言った手前、声をかけるべきではなかったのだが、その見るからに気の抜けた表情に警戒を抱くことも出来なかった。紫色の毛並を持った猫は、ゆっくりとした動作でこちらを向く。

「そ~だよぉ~」

のんびりとした口調。平和をそのまま体現したような猫は、釣り糸に視線を戻す。傍らでじっとしていた小さな生き物が、半分だけ目を開けて彼女を眺め、それから再び閉じた。

この無害としか言えない存在が、その実、非常に異質だった。人々は黄泉の闇から溢れる軍勢に怯え、震えながら生きている。こんな辺境の湖に武器も持たずにいることなど、出来はしないのだ。

「どうしてこんなところにいらっしゃるのですか? 旅のお方」
「ボクはね~カエルくんと釣りをしてるんだ~」
「こんな何もない、危険なところで?」

マリーナの声色が、僅かに固くなる。今の王国に安全な場所など、何処にもないと言うのに。

「そんなことはないよ~この水はキレーだし、空気もオイしいよぉ~」
「それを何もないと、」
「あとねぇ~」

巨体が揺れる。無意識の内に、杖を持つ手を強く握りしめていた。平和的で異質な猫はマリーナの警戒など気付いた風もなく、何かを差し出した。

「お花もキレーだよねぇ」

マリーナはそれを、受け取ることが出来なかった。


「シャドウのそれは、走ってるっていうのか?」
シルバーがシャドウの足もとを見ながら呟く。口調は不満げで、視線は睨みつけるようだった。言わんとすることを把握し、シャドウは呆れながらため息をつく。
「そんなの使ってシャドウが走ったら、オレだけ置いて行かれるだろ」
もう一人のハリネズミ。この場に居ないそいつは、きっとこの時もどこかで走っているのだろう。名前が表すスピードで疾走する彼と並ぶことが出来るのは、目の前でシルバーを眺める黒いハリネズミだけ。そう思うと、自分だけ仲間外れにされているようで、
「悔しい」
「……なら、」
思わず漏れたシルバーの声と被るように、シャドウが口を開いた。はっと息をのむシルバーの身体を上から下までじっと眺め、シャドウは続きを言葉する。
「君は飛べばいいだろう」
「それで追いつけるなら……っ!」
反射的に言い返したシルバーに、シャドウは僅かに笑みを浮かべた。
「……僕は彼のようには走れないが、彼は僕のようにこの靴を使いこなせない。君の能力も同じことだ。僕も彼も、君のように飛べはしない」
シャドウは言い放つ。呆気にとられていたシルバーは、ようやくシャドウの表情の意図に気付いて、口許を吊り上げた。
「追いついて、みせるさ!」
プラチナゴールドの光を放ちながら、戦う姿を見ていた。息を切らしながら、命を燃やしながら、前だけを見据えているそれを、シャドウは理解できない。おそらくこれは自分自身だというのに。

「何かを守れた気にでも、なっていたのか?」

僅かに残る記憶の中で戦い続ける自身に、シャドウは吐き捨てる。失われていく力、擦れていく意識。高く高く昇っていくもう一つの光。

その瞬間、自分は生存を放棄したのだ。その事実だけが、シャドウには理解しがたい。結果的に消滅しなかったものの、そんな戦い方は敗北でしかない。あの時自分は、他の誰にでもない、自分自身に負けることを選んだのだ。

「諦めて、捨てただけだ」

シャドウはその記憶から目を背ける。自分は消えなかった。そしてこれからも消えるつもりはない。理由は分からないが、存在していくつもりだ。究極の生命として。だから誰にも負けることは許されない。もちろん、自分自身にも。

シャドウ・ザ・ヘッジホッグは、生存を放棄した記録を破棄し、再び目覚めることを決定した。
最新コメント
[10/15 章屋]
[10/09 恵梨香]
[08/20 なる]
[08/04 ゴチ]
[08/04 ゴチ]
ブログ内検索
フリーエリア
バーコード
忍者ブログ [PR]

Template by テンプレート@忍者ブログ