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おねがい、かれをおこさないで

涙で白磁の頬を濡らしながら、金糸の髪と地球を映したような瞳の少女が、倒れたシャドウの横に突如

現れた。

音速を誇る針鼠はまだ眠ったままだ。
究極を誇る針鼠は、たった今目前で闇の球体に呑み込まれた。
思わず腕を伸ばして渾身の力でもって引っ張りあげるが、彼の半身はごっそりと向こうに持っていかれ

ていた。
ボタボタと、彼の中身が地に落ちていく。
ピンク色の細長く蛇腹状のものや、つるりと皺一つない袋状の物体や、白く長細いカルシウムの塊が

、彼の半分になった体から見え隠れしていた。
それでもまだ暫くは意識を保っていたのだが、先ほど宙を一瞥した後、その瞼をゆっくりと閉じた。
せめて流れ出る赤色を留めたくて緑光で包むが、薄ぼんやりとした少女がそれを留めた。

「アンタ…」

おねがい、もう、かれをくるしめないで

涙に濡れそぼった彼女の瞳は、吸込まれそうな程美しかった。


2008.8.21
「シャドーーーーーーーーーウ!!」

怒声と共に、大量の食器がシャドウの方向へ飛んできた。
シャドウは静かに瞳を閉じ、彼の力が真紅の矢となり、全てを撃ち落す。
シルバーとシャドウの間には、木っ端微塵にされた陶器の欠片が降り積もった。

「…フン、これ位で僕を倒そうなどと思っているのではないだろうな」
「っ……シャドウ、てめぇ!!」

己を弾丸のようにし、シルバーが真っ直ぐシャドウへと飛んでくる。
音速を超える速度でシャドウの姿がぶれる。
キョロキョロとあたりを見回していると、背後から頭に足蹴が見舞われた。

「甘い。そんなんだから普段力尽きるんだ」
「くっ…そ…」

口元に広がった鉄の味を確かめながら、シルバーがまた集中を高める。
対峙するシャドウもまた、その右手に緋色を纏っていた。








「酢豚にパイナップル入れるなって言っただろー!!」
「好き嫌いは良くないとあれ程言ったじゃないか!」










2008.8.20
僕の聖母よ。
君は天国で、幸せに暮らしているのだろうか。



「ねぇシャドウ、あの惑星に いつか一緒に行ってみたいわね」

展望室で毎日のように水の惑星を眺める彼女は、時折寂しそうな笑顔でそう呟いた。
生まれつき抵抗力のない彼女は、この箱舟の中ですら生きることままならぬ。
それでも希望を胸に笑顔を絶やさないよう生きる彼女は、他の何よりも美しかった。


シャドウ お願い、あの惑星に住む全ての人に…


白百合の花が一輪、花弁を散らす。
最期の時まで、彼女は笑顔を絶やさなかった。









箱舟が堕ちる。
彼女の愛する惑星を滅ぼさんと、崩壊の秒読みをあげていく。
奇跡の力で増幅された力を惜しみもなく差し出し、手首に填められた黄金を取り外した。

時空を歪め、箱舟が真空の宙へと放り出された。
白金の己の手に、柔らかな感触が触れた気がした。



これで、よかったんだろう…?









2008.8.20
同じ自分だとは思えない。
普段の音速など、願ったとしても出せやしないだろう。

爪が、硬質化した腕が、薙ぎ払う肉の感覚さえも生々しく。

「おっと、そこまでだせ?」

見上げれば、金色に光る紅玉の瞳の己が映っていた。

「悪い奴には首輪でもつけやらないとな?」

悪戯そうに笑みを浮かべる金色の手には、鉄製の枷が握られていた。
今思えば、マリア以外に彼女のように優しい女性(ひと)は居なかったのではないだろうか。
眠っている間に、しばしば此処ではない何処かに居る夢を見た。

人類の罪の箱舟、アーク。
その中の努力の結晶、シャドウプロジェクト。
不老不死という、人類の最果てを根本的に覆すような、終焉を壊す計画。

カオス。チャオの突然変異体。
人工カオス。チャオを無理やりに突然変異させた、異形の化け物。
カオスエメラルド、マスターエメラルド。
奇跡の宝石の力を自在に操ことが出来たのなら、人としての終焉すら回避できるようになると思ったのだろうか。

生き物というカテゴリーにすら入れられることのない彼らを慈しむように、大切に大切に守った彼女。
種族の抗争に巻き込まれ、悲劇の終焉を迎えた彼女。

僕に夢を託した、たった一人の僕の聖母。
そんな君も、あの箱舟の上ですら生きることはままならず、人類の薄汚い感情のなかに押し潰されてしまった。

どうして彼女たちが、傷付くような世界を守らなくてはいけないのだろう?




そう、思っていた筈なのに。

『お願い シャドウ』


「シャドウ!」

白金に輝く腕から、黄金のリングを取り去った。
ソニックの腹に拳を撃ち込み、金色を失った彼を置き、宇宙の崩壊の根源へと、真っ直ぐ向かっていく。

優しい彼女たちがこの世界の続きを望むなら。
僕はこの身を賭して、彼女たちの愛するこの惑星を守ろう。


















2008.8.20 
早く、速く。七色の輝石を集めなければ。

闇を包括するあの化け物が、ソニックを奪ってしまった。
彼の風は、まだ生きている。


未来の世界飛ばされた折に見かけた生物達が襲ってくる。
二本の黄金の尾をプロペラのように回転させて、攻撃を回避した。

時折闇色の球体が何もない空間に出現し、世界を歪めていく。
全てを飲み込んでいくそれを見た瞬間、血流が逆流する気分を味わった。

敵の攻撃も、球体の吸収力にも反して銅像に触れる。
気付けば、廃墟と化したビルの屋上付近に、あの奇跡の輝きが見えた。

「待っていてソニック、今、助けるから……!!」

引っ張られるように後退していく体に鞭打ち、必死で右手を伸ばしてそれを掴んだ。






七つの輝きが、音速を誇る彼を包み込んでいく。
光が終息したそこには、青を金色に染め上げた姿が宙に浮かんでいた。

「Thank you! さぁシャドウ、シルバー。仕上げと行こうか」

金色の輝きが、空高く飛んでいった。



2008.8.19 otowa shigure
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