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たたむよ!

触れれば溶けて消えてしまいそうな程、その光は儚いものに見えた。


神々しい程に輝く月色の肢体。
瓜二つの筈であるのに、根本的に違うと言われているような、その色彩の違い。

ああ、今の彼によく似た姿を、僕はどこかで見たことがある。
どこだっただろう。とても大事な場面で、記憶に焼き付いている程なのに。

そうだ、

我が君の、輝かんばかりの黄金の鎧に包まれたその姿。
こんなところまで彼が同等であるという事実に、目眩を起こしてしまいそうだった。



「君は君で、僕は僕だ。それ以上でも、それ以下でもないだろう」
そう言う君の言い分にも一定の納得はしていたのだけど、
我が君の視線が向いているのは君であって僕ではない事実に、
こればかりはどうしようもないとわかってはいても心の内には重い鉛が溜まっていく。
当然だ。だって君は元々から我が君と同じ世界で、これからも一緒に駆けられるのだろう。

僕は、違う。

紙上の存在が、それ以上の越権など行える筈がない。
分かっていた。

解っていたんだ。



君のその一言だって、今のその身体だって、
残酷な程、僕の心を切り刻むことは。

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