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ちょこっと大人向け(に、なってない)
でも気恥ずかしいので隠しますー
生まれた時から、目の前にいるこの人は憧れの存在だった。
負けることを知らない、この国最強の騎士。
ランスロット卿と聞いて、知らない人間は居ないと言っても過言ではない。
その人が、今。
自分の目の前で、静かに眠っている。
最近、新しい王が王位に就いてから、彼の執務は増えに増えた。
元々睡眠等の生活サイクルがわからなかったのに、
やらなければならないことが増えたことによって、普段からあまり良い顔色ではないのに、
既に紙の白を通り越したような、このまま透き通って消えてしまいそうな程になってしまった。
心配で心配でたまらなくて、王宮魔術師のマリーナの所に駆け込んでどうしたら良いのを問いかけたところ、
渡されたのは、小さな琥珀色をした液体の入った小瓶一つだった。
「……これは?」
「睡眠薬ですよ。いかにランスロット様とは言え、身体の欲求には耐えられないでしょう?」
少し悪戯めいた表情を浮かべながら笑みを零すマリーナは、
以前の憂いを帯びたそれが払拭されて、明るくなったような気がした。
小さい頃から一緒だった自分としては、喜ばしいことだった。
貰った瓶を持ち帰って、向かった先は厨房だった。
誰にも見つからないように忍び込んで、夕飯に添える赤ワインの中へと、一滴零す。
何気ない様子で食事に参加して、彼がそのワインを飲み干すのを確認した。
彼の喉が紅の液体を嚥下していくのを確認したその瞬間は、平静を装っていられただろうかと今でも焦りが隠せない。
結局その後暫くして部屋に消えた彼を追いかけて、鍵の掛からない部屋の扉を開けば、
安らかに眠りを貪る父の姿。
「……ちちうえ」
起こさないように、触れるか触れないかの境界で指を滑らせる。
ベルベットの手触りよりも手に馴染む、絹すら裸足で逃げ出すその毛並み。
閉じられたその瞼に走る紅。瞼に隠されたその金紅の瞳。
どれもこれも綺麗だ、という感想しか漏らせなかった。
誇り高き、最強の騎士。
吸い寄せられるように、身体が傾いだ。
もっと触れていたい、と自覚するよりも早く。
爪、指、額、瞼、頬。
触れるだけの、小鳥が啄ばむ程度のその羽を落としていく。
起こしてしまわないだろうか、という杞憂は既に捨ててしまっていた。
止まらない。
止めたくない。
あの王様に、盗られたく、ない。
背徳感が高揚へと摩り替わっていく。
僅かに漏れる吐息が炎のように熱を孕んで、
芯に火が灯って、それは大きく猛火へと成長を遂げていく。
浅ましいほどの獣の欲。既に止めることなど不可能。
「ん………ガラ、ハッ……っ…」
「申し訳ありません父上……でも、あと少しだけ」
今、その瞳に映るのが自分だけならいい。
忠誠を誓う王も、同胞達も要らない。貴方だけに。
この命、捧げます。
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