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中途半端。
「だーかーらー、なんで逃げるのよー!!」
少女の甲高い絶叫にも似た声が響いている。薔薇色の頬を更に染め上げて、エミーは必死に足を動かしていた。
時を遡ること、数日前。
アップルパイを作ろうと街に繰り出した製菓系を取り扱う店で、意外な人物に出会った。
菫色の柔らかな長い尾を揺らしながら、あれやこれやと悩むその人物は、皇女であるブレイズだった。
「ブーレイズ!何してるの?」
「っ……ああ、何だ、エミーか……嫌、久方ぶりに何か菓子でも作ろうと思ったのだが、思いつかなくてな……」
あまり得意ではないのだが、作ること自体は好きなのだとはにかんだ様な笑みを浮かべるブレイズは、少し照れたように店内の材料を眺めていた。
「…なら、一緒に作らない?」
一人よりも一緒の方が楽しいわよ、とエミーは満開の笑顔を浮かべながらブレイズを家に招待した。
それぞれの材料を広げながら、他愛無い話に花を咲かせる。
最近の天気があまり良くないから、早くお日様が見たいなんて男からしたらどうでもいいような会話ばかり、
エミーとブレイズの作ったアップルパイが、オーブンへと入って焼き上がりを待つこと数分。
「……ソニック、食べてくれるかなぁー…」
エミーが溜息交じりに憂いを帯びた言葉を零した。言葉に上った人物に、ブレイズが僅かに身を固くする。
「…ソニックは…普段…その、食べるのか?」
「んーん、いっつも逃げられてテイルスやクリームとお茶にすることが大半よ?
でも、もし食べてくれたらって思ったほうが、楽しいじゃない」
あまり残念そうでもなくエミーは軽やかな笑みを浮かべてブレイズの問いかけに答えた。
いつも追いかけたって彼の俊足に勝てるはずも無いのだから。たまに振り返ってくれる時にずるいと思ってしまうだけ。
「…そう、か」
対するブレイズは少し落ち込んだ様子だった。エミーの女としての感が鋭く察知してしまう。
ああ、そういえばブレイズも同じなんだっけ。
「じゃあこうしましょうよ!二人でソニックを追いかけて、捕まえた方のアップルパイを食べてもらうって!」
と、まあそんなこんなでエミーとブレイズに追いかけられる羽目になったソニックと言えば、目の前で繰り広げられているダイヤモンドダストに表情を強張らせていた。
卓を囲むのはカリバーンとマリーナ、そしてランスロット。
見るだけなら優雅なお茶会に見えなくもないのだろうが、お互いに纏う空気が酷く冷たい。
マリーナの整った顔は笑顔を浮かべているが、瞳が笑っていないことを物語っているし、対岸のランスロットも端正な顔をなんでもないように装っているが、内心のところは今にも堪忍袋の尾が切れてしまいそうなのだろう。冷静沈着そうでいて、実は沸点が低いことをソニックは嫌というほど知っている。
出来ることならいま直ぐにでもこの場所から駆け出したかったが、話の内容が無いようなだけにそれも叶わなかった。
議題に上ったのは、これから帰らなければならないソニックの代わりに、誰が執務をこなすのか、である。
二人の何時まで経っても進展の無い平行線の言い争いに、既に数えることも放棄した溜息が零れ落ちた。
足元に視線を遣れば、自分の影がゆらりと縮む。
「……っ!?」
まずい、と思った瞬間、何処か身を切り取られそうな程の痛みと共に、強い思念が自分の思考を締め出すのを感じでいた。
「……ソニック?」
急に身に纏う雰囲気ががらりと変わり、カリバーンは思わず今現在の相棒に声をかけた。
空色がじわりと光を失い、深海の更に光すら届かない場所へと落ち込んだような暗い藍色がその身を蝕んでいく。
その瞳には、狂気。浮かべるのは、微笑。
「おい、どうしたのだ、ソニック!」
「……どうされたのですか、ソニックど…きゃあ!」
マリーナがその腕に触れようとした瞬間、荒れきった嵐がその王国に吹き荒れていった。
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