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まるで絶え間なく、音楽が流れている様だった。この空間、そし
てオレ自身の鼓動が。
オレの知らない、見た事も無い、どす黒いオレの姿に、困惑を覚
える。
あの化け物に対する――怒り?。
何時もと勝手が違う、集中できない。まるでリングの力がオレの
限界などお構いなしに、力を流し込んでいる様だった。
自分自身でも恐ろしくなる。この込み上げてくる激しい感情に、
身体が破裂しそうだった。――狂暴な魔神の様に。
抑えが効かなくなれば、あの化け物の様に膨れ上がり、やがては
全てを消し飛ばすのだろうか?。
駄目だ、とにかく、とにかくこの力を解き放たないと、あの化け
物にも勝てない、オレ自身もおかしくなる。早くこの力を制御しな
いと。
突如、イレイザー・ジンの成れの果ての、化け物の爪が襲い掛か
った。胸元を深く切り裂き、弾き飛ばされる。
“ふざけやがって…”
“出来損ないの化け物が”
“オレに逆らうか!?”
焦りよりも速く、思いがけない言葉と感情が一気噴き出した。同
時に全身を包み込むような高鳴りを感じた。――最高にハイな気分
だ。
そしてオレは突然理解した。――あぁ、これはこう言う事か。
気のせいとばかり思っていたが、音楽は確かに流れているんだ。
オレのリズム、今のオレのリズムと言うべきか。
そういえばコイツには、随分と姑息に立ち回られた物だ。
このオレに、虚仮威しをして、彼女を苦しめ利用して。
上等だ、ここは魔神らしく、派手に荒ぶってやろうじゃないか。
「OK、ロックンロールだ…クソヤロー」
胸を流れる血を一舐めする。最高にハイな気分だ