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思い切り吹っ飛ばされて受身を取ることすらままならない。
壁に叩きつけられたはずなのに、次の瞬間には棘を捕まれ宙吊りにされる。
彼の双眼が自分のそれを覗き込んできた。視界が霞んでいるのは眼球が潰れかけているのだろうか。それとも先程から止まらない血が目にでも入ったか。
「綺麗だな」
いつもよりオクターブ下がった声で彼が笑う。棘を掴む右手に反比例するように、頬へと添えられた左手は優しかった。慈しむような指先は、血と体温で温かい。瞼をなぞる様に触れる指の感触は分からなかった。
「よこせよ」
彼が言って、次の瞬間ぶちりと音がした。思いのほか痛みは少ない。視細胞はとっくに死んでいたらしい。所詮器に過ぎないんだなぁと人事のように思う。
眼球だって何だって、好きなだけ抉ればいい。
持てる分全部くれてやって構わない。
ただ、死にたくはないと思う。
「腕でも足でもアンタにやるよ。でも殺すな」
「命乞いならみっともないなぁ?」
「違う」
見えなくなった右目が彼の手の中にある。遠近感が狂った世界で、腕を持ち上げ彼へと伸ばした。
如何してこんなことになったのか、もっと早く気づけたら。
そう思うのはエゴだから、代わりに全部持っていけ。
「悲しいんだろ」
独りにして、ごめん。
背中に伸ばして抱きしめた手は、彼の心に届いただろうか。
2008.08.19
壁に叩きつけられたはずなのに、次の瞬間には棘を捕まれ宙吊りにされる。
彼の双眼が自分のそれを覗き込んできた。視界が霞んでいるのは眼球が潰れかけているのだろうか。それとも先程から止まらない血が目にでも入ったか。
「綺麗だな」
いつもよりオクターブ下がった声で彼が笑う。棘を掴む右手に反比例するように、頬へと添えられた左手は優しかった。慈しむような指先は、血と体温で温かい。瞼をなぞる様に触れる指の感触は分からなかった。
「よこせよ」
彼が言って、次の瞬間ぶちりと音がした。思いのほか痛みは少ない。視細胞はとっくに死んでいたらしい。所詮器に過ぎないんだなぁと人事のように思う。
眼球だって何だって、好きなだけ抉ればいい。
持てる分全部くれてやって構わない。
ただ、死にたくはないと思う。
「腕でも足でもアンタにやるよ。でも殺すな」
「命乞いならみっともないなぁ?」
「違う」
見えなくなった右目が彼の手の中にある。遠近感が狂った世界で、腕を持ち上げ彼へと伸ばした。
如何してこんなことになったのか、もっと早く気づけたら。
そう思うのはエゴだから、代わりに全部持っていけ。
「悲しいんだろ」
独りにして、ごめん。
背中に伸ばして抱きしめた手は、彼の心に届いただろうか。
2008.08.19
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