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時空を超えるというのは、なかなかどうして奇妙なものだ。
一度経験したなら忘れられない。それほど強烈な体験だと思う。

頭は始終ぐらぐらと回転を加えられ、さっきからずっと乗り物酔いのように気分が悪い。
あちこちから引っ張られる感覚がする。意識をしっかり保っていないと、どこかに私を落としてしまいそうな気がする。
慣れているのか、彼は悠々と地表のない世界を飛んでいる。

「意識を保て」

そうだ、意識を保っていないといけないと、彼にきつく言われたばかりだった。

「目を閉じるな。持っていかれるぞ」

視覚は全て灰色に塗りつぶされ、上も下も分からない状態だ。
これなら目を閉じていてもいなくてもいっしょじゃないか、と思ったけれど、彼は怒るととても怖そうなので言わないことにする。
会話は必要最低限で済ませていて、無駄口は一切叩かない主義らしい。楽しい時空の旅はもう半ば諦めていた。

雲の中に入ってしまった飛行機がこんな状態に陥ると聞いている。
まだ電子機器の発達していない昔、これに迷い込んでしまったせいで天地が逆さまになり、海に散華した飛行隊員がたくさんいるという。
もっとも、何かの本に書いてあったと記憶しているだけだから、「聞いた」というのは正しくないかもしれないけれど。

重力の方向すらも分からない、空の上のホワイトアウト。
彼らは白い牢獄の中で、いつ抜けるかわからない無限の刹那のあいだ、どんなに不安だっただろう。

だけど私には彼がいた。
彼は命綱であり、頼れる羅針盤でもあった。彼はこの浮草のような肉体を支え、しっかり導いてくれる。
冷たい態度のくせに、手のひらだけは生命のエネルギーに溢れているのが伝わってきて、
それのお陰で優れなかった気分も少し安らいできた。
迎えにやってきてくれた頃には眩しすぎた金色も、今は優しくさえ感じた。

彼は何も言わないけれど、私は彼の名を知っている。

「ありがとう、帰りもよろしく頼むわ」

返事はない。彼は、ただそこに立っていた。
けれど私は彼は絶対に迎えに来てくれるとを知っていたし、それに私は行かなければいけない。
友人たちが待っている。



○○>こんばんわー


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