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 ベクターさん、ベクターさん。ベクターさんのしっぽはどうしてそんなに大きいの。

「あぁ?」

俺はこの少女が嫌いだ。屈託のない表情で、大きな目をキラキラさせて、オトナの曖昧な部分を穿り返そうとする。コドモのくせに、介入してくんなっつの。

ベクターは大きな口を隠すように新聞を広げ、クリームの純真な視線から逃れようとした。
「お前は生まれたときからくっついてるもんにギモンを持つのかよ」
「ええ、もちろん。なぜ私の耳は大きいのかとか、目はふたつあるのかとか、そもそもなぜウサギなのかとか。ベクターさんは考えたことないのですか?」
考えれば考えるだけ楽しい世界が広がります。謎は深いほうが追求しがいがあるというものです。
「お前がウサギなのは、お前の母さんがウサギだからだろ」
「じゃあなぜお母さんはウサギなの? いつから?」
「……」
そんな頭の痛くなるハナシはトースターで焼いて食っちまおう。
「最初の質問に答えてやるよ。俺のしっぽのことだ」
「ええ、ええ! ぜひ教えてください!」

ベクターは少し黙ったあと、面倒くさそうに答えた。
「足が短いからよ、その分しっぽをデカくして、カラダを支えるためさ」
適当だった。
少女はみるみるうちに瞳を輝かせて喜んだ。
「なるほどそうなのですね! ベクターさんは足が短いから、だから大きなしっぽなのですね!」
隣のソファーに座っているエスピオが小刻みに震えている。
「じゃあ今度はお前の番だ。そのちっこいしっぽは何のためにある? お前のことだ、答えは出ているんだろう?」
もちろん! と、クリームは胸を張ってこう言った。
「かわいいからです!」
「……なんだ、しっぽってぇのはたいした役にたってねぇなぁ」
ベクターはフンと笑い、やれやれとまた新聞に目をやる。

「で、どうしてベクターさんの足は短いのですか?」
「…………」

エスピオが、今度は飲んでいたお茶を噴いた。





おわる
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