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「テイルス、いるかー!?」
扉をノックする暇も惜しんでソニックが飛び込んできた。舞い上がる外からの風に、開きっぱなしになっていた図面が飛んでいかないように抑える。
「な、どうしたの?」
「ちょっとオレの家まで来てくれよ!大急ぎで頼むぜ」
そう言うと、ソニックはガレージの大扉を勢いよく開け放つ。普段なら走っていくのに、今日はトルネード号で行かなきゃならないってくらい大急ぎなのか。さっき機体ごとばらしてチェックしたのは正解だったな。
スイッチを次々ONにして、エンジンがうなりをあげる。
「いくよ、ソニック!」
「OK! 急いで急いで!」
その焦りっぷりがかなり切実。
一体何があったのかな?聞きたいんだけど、聞いてるうちにもうソニックの家の上まで飛んできちゃう。トルネード号だと本当に早い。
丘の上の小道を滑走路代わりに着陸すると、低空で飛び降りたソニックはもう家の中に入って手招きしてる。
何か、壊れたってことかな?工具箱を手に追いかける。
「テレビが!」
ジタバタと部屋の中で足踏みしてるソニック。
見たいテレビ番組があるのに、どういうわけか映らない、ってことか。
しかももうすぐ始まっちゃうか、もう始まってるか。この焦りっぷりはなんとなく理解できる。
「わかったよ。映ればいいんだよね」
ただコクコクとうなずくだけのソニック。
もうこれ以上詳しいことは聞けそうにない。
かなりいじったのか、裏の配線もグチャグチャだ。それを一本ずつ巻いて結束したり、抜けかけたコードを挿していくと、大切な映像用のコードが一本ずつ左にずれてるのがわかった。
これだと映らなくなって当然だ。ちゃんと正しい位置に戻して、うっすら積もったホコリもきれいに拭って電源を入れた。
ぶん、と静電気が動いて、ソニックの表情がキラキラと輝いた。
「はい。直ったよ」
「THANKS!!! もうダメかと思ったぜ」
ぴぴぴ、とソニックがリモコンをいじって、映し出された画面には、緑色の草原がどこまでも続いていた。
ネイチャードキュメンタリーなんて、ソニックが見るとは思わなかった。
けど、ソニックが見てるのは、渡り鳥の集団だった。その中の一羽を見つけて、テレビが直ったとき以上にホッと胸をなでおろしてる。
「テイルス、お前っていろんなもの作ったり直したりできてすごいな」
「小鳥の怪我を治してあげるよりもずっと簡単なことだよ」
へへっと笑って、握手を交わす。
そう。
僕らはいろいろなものをなおす手を持ってる。