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毎朝しきりに鳥のさえずりがすると思っていたら、近くに巣を作っていたらしい。餌を運ぶ姿を見つけた彼が、子どもが生まれたみたいだと言ってにこにこ報告してきた。それが数日前の話。
 
静かな朝に小さな違和感を覚えつつ扉を開ければ、雛の亡骸を抱えた彼が立っていた。
 
広げた掌に収まりきってしまうほどに小さいそれを、花壇の脇に埋める。掘り起こしてできた穴に彼が骸を沿えた。花壇に咲いた一輪から、花びらを一枚だけ失敬して手向けにする。自分と顔を合わせてから土を盛り終えるまで、彼は一言も発しなかった。
シャベルを置き、汚れた手を軽く払う。その手を、無表情に花壇を見つめる彼の額に乗せた。俯きかけていた顔が僅かに上がる。視線がぶつからないようにして呟いた。
「悲しめばいい」
多くを語ることはなくとも、其処にある悲しみは瞭然だった。
額を撫ぜる端から、ぼろりと涙が溢れ出す。顔を覆うことも忘れて彼がしゃくりあげた。
「生まれた、ばっかで、まだ、羽、」
「…」
「開いてすら、なかっ、」
黙って額を撫ぜてやる。
遮るものの無い中で、彼の泣く声だけが残されていた。
 
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 彼は眠っていた。岩に突き刺され封印されていた。持ち主が現れるのをひたすらにまっていた。永い永い間ただただ待つばかりであった。眠っていたけれど外の様子はよくわかった。雨が自分の身体を打ち付ける冷たさも、動物が自分のまわりを跳ね回る様子も、雪が自分の冷たい刀身を一層に冷たくするのも、分かった。そして何人もの猛者が我こそは王にならんと自分に挑戦するのも分かった。しかし大概諦めて去っていく。彼は、カリバーンはそういう身の程しらずが落胆するのを見て、お前に王の資格がある訳無かろう、たわけが、うつけが!と馬鹿にするくらいしか、楽しみがなかった。
やがて、誰も自分に挑戦しなくなった。ささやかな楽しみすら奪われてもカリバーンは一向に気にしなかった。自分は大聖剣であり、時がくれば必ず誰かがものにすると。そう信じていたからだ。刀身が鋭さを無くしていっても、砂が彼に細かな傷を付けても、彼は一向に気にしなかった。
遠くで声がする。彼は久々にうつけが現れたかと、ほくそ笑んだ。大きな手が自分の柄を握り締める。そしていとも容易く封印をといてしまった。彼は永い時を経てようやく目覚めた。驚いたのは確かだが、封印を解かれた事が純粋に嬉しかった。
しかし、自分の封印を解いた、王の資格を持つものは、なんと人間ですらなかった。ハリネズミであった!




それからは酷かった。何しろそのハリネズミときたら、剣の心得すらないまったくのヒヨッコだったのだ。まだそれだけなら私の広い心は平静を保っていられただろう。奴ときたら私を鈍器だとでも勘違いしているのか、ぶんぶん振り回して、剣の腹を当てるわ、壁に突き刺して滑走するわ、私がアドバイスすれば口答えするわ、相当であった。挙句の果てには「ナマクラ!」と罵られた。今まで辛いのを飲み込み待ち続けた私でも流石にきれた。由緒ある私にこともあろうがナマクラだと!!道中口げんかが絶えなかった。私が!!!!といえば奴は!!??!と返す。しかしながら奴の素質は相当なものだったらしく、必殺のソウルサージですら易々とこなすようになった。くそ生意気な。と思う反面嬉しかった。私はやっと剣として、聖剣としての役割を全うできるのだ。

「let's go!いくぜナマクラ!」
「たわけ!ヒヨッコ!」

本当に厄介だ。憎まれ口を叩こうと、どんなにヘラヘラしていようと、真っ直ぐな瞳に王の風格を見てしまう。そう奴こそ私の持ち主、大聖剣エクスカリバーを所持するに相応しい王だということ。よりによって私をナマクラ呼ばわりする奴を、私自身、あらゆる意味で奴を認めざるをえない。それが厄介だ。
「時を数える ということをしたことはないのか?」

シルバーと名乗るこのハリネズミに出会ってから、数々の戦闘をこなし、無数のイブリースの配下を蹴散らしながら、いろいろな話をしてきた。
ふとしたことから、年齢の話になったのだが、本人は生まれの年も、日にちも全くもってわからないのだという。
「今がどんな季節で、どういう時期なのか なんてことは、もうはるか昔にわからなくなっちまって・・・・。時計っていうものもないし、この空じゃあ・・・・」
見上げた空には暗雲が厚く垂れ込め、確かに今が昼なのか夜なのかも全くといっていいほどわからない。

「では、イブリースとお前が戦ってきた年月というのも・・・・」
「わからないな・・・俺が生まれたときには、もうイブリースはこの世界にいて、どこもかしこも炭だらけだったから・・・」
「・・・・そうか・・」

どれだけの時間を、このハリネズミの若者はたった一人で戦ってきたのだろうか。

その積み重ねられた戦いの月日を、私の力で断ち切ってやることができたのなら。

それがこの世界に来た私の使命なのかもしれないと、密かな決意を胸に抱いた。


おまえら、よーっく聞け!

今度のシゴトは、別次元の宇宙だ。
それがどこにあるかはわからない。

わっかんねーモンは仕方ねーだろ!

あー、まあ、エスピオ、調べてくれ。
エッグマンのアジトに行けば何か手掛かりぐらい残ってんだろ。
宇宙まで行けばなんとかなる!
そう、カッカするなよ。頼りにしてんだぜ?

ま、カオティクス探偵事務所を引っ張ってんのはオレだし、イチバン頼れるオトコはオレだけどな!


おう、ヴァニラさんの依頼だ。
引き受けるのが正義ってヤツだ。当然だ!

お嬢さん、かわいいクリームちゃんが、まーたアイツらと行方不明なんだとよ。
お母さんに心配かけちゃイケナイよなあ。

あの清楚で可憐で優しく美しいヴァニラさん…ケーキは絶品だったぜ…

え?

ひ、ひとりで食べたって?!
そりゃ依頼を受けた時にお前らがいなかったから、仕方なくオレが食っ…
ちょ、待てチャーミー!
待っ、

いてえええええ!!!!

そんなに怒るこたあねえだろ!
このカオティクス探偵事務所を支えてるのはオ…

 

おまえら、オレの話、聞けよ!
しまいにゃ怒るぜ!

 
 
幸せは見えないものだよなと呟くと、隣から静かな肯定が返ってきた。
「頭上に掛かる虹は本人には見えないものだ」
人だってそうだろうと彼が言う。真意が分からず顔を覗き込めば、口を開こうとして僅かに眉根を寄せた。言葉を吟味するように呟いていく。
「誰もが個としての価値を持つ。気付かないのは、自分が光っているからだ」
だから僕らは誰かを羨んだり、その残像に助けられたりしながら進んでいける。
囁いた言葉は静かだったが、其処に躊躇いは無かった。
「お前さ…」
「何だ?」
言いかけて止める。言えばきっと逃してしまう。大概こういったものは、掴むことができないと決まっているのだ。
 
 
例えば、一度は壊そうとしたものに向かい合う中で、再び慈しむことの意味を見つけられたなら。
それはどんな宝石だって及ばない、目も眩むような輝きに違いない。
 

 奥歯を食いしばって、わたしが睨みつけるのは我が国王。

「やめてください、このようなこと」

 煮沸した蒸気の噴き出す間欠泉で、おうさまのまねをしたぼうけんごっこをしていた子どもが、当のソニックの胸にしがみつくようにして眠っている。


 モルテンマインで子どもがいなくなったと騒ぎになったのはこの夕刻。
 慌てて火山を駆け上がれば、子どもを抱いたまま黄泉から溢れた闇蜘蛛を蹴散らす王をみつけたのだ。
 普段の王と何も変わりない強い戦いぶりに加勢は必要ないかと思わせて、振り向いたその肩から背にかけてざっくり開いた大きな傷から赤い血を滴らせていた。
 一気に怒りが頂点に達したわたしが、炎を撒き散らしてあたりを一掃すると、王は、ソニックは私に微笑んで言ったのだ。

「必ず来てくれるって信じてたぜ」

 なぜ、あと僅かな時間、待っていてくださらなかった。
 一緒に行動していれば、このような傷を負わせたりしなかった。
 けれど、子どもの無事がソニックには最優先で、そうでなければ彼ではないというのに。
 わかっているから、余計に悔しさが増す。

「ご無事でよかった」

 わたしには、それしか言えない。
 泣いて、ソニックの命を惜しむようなことを言うことができれば、もっと幸せになれると思うのに。

 こんな想いを知ってか知らずか、ソニックはまた私に微笑を向けるのだ。

「帰る時は一緒だろ、パーシヴァル」

 

雨の気配に目を覚ました。
春の少し冷たい風にまぎれて落ちてくる水滴はほとんど音を立てない。
すっと胸に沁みこんで、中にあるものを育ててゆく。
少しずつ膨らんで、朝になれば開く花のような。

でも、朝なんてもう待ちきれない。飛んでゆく心を抑えられない。
思い切り走っていれば、春の雨なんてすぐに乾いてゆく。
ふと、隣を見れば、さっきまでみていた夢の続き。
何も知らなかった、子供のころの自分が問いかける。

「この雨はどこまで続いてる?」

そりゃあ、想いを潤おしてくれるひとのところまでさ。
おいおい、不思議そうな顔をするなよ。

部屋が見えた。明かりがついている。うれしくなる。
けど、迎えにくればいいのに、とも思う。
きっと渋い顔をしてるだろう。
部屋を濡らして汚されることを怒るだろう。
大きなタオルでオレを包みながら。

なんて言い訳すればいい?
雨の中に問いかける。
何も知らない、子供のころの自分が答えた。

「雨音を聞きたくなったから」

Good-Idea!
可笑しくて笑うと、不思議そうな顔をして水に遊んで消えていった。

シャドウに夢の話をしよう。
子供のころの自分に会えたら、これが恋だと教えてやりたかったのだ。

あたたかな胸に耳をあて、ほとんど音を立てない、しずかな、しずかな、雨音を聞きながら。

最初に出会った時から、こうなる事だろうと何となく感じていた。

今、俺の目の前には、俺とそっくりなアイツが立っている。
あのエミーですら、俺とアイツを何度も勘違いしているほどだから、本当にそっくりなんだろう。
世界には三人ほど自分とそっくりなヤツが居ると言われているが、アイツは、俺と同じ能力だ。
俺が出来る事ならアイツも大体は出来るし、俺もあいつが出来る事なら大体、出来る。

そんな俺とアイツが戦う理由は特にない。
それなのになんで?と言われるかもしれないが、強いてあげるなら、俺とアイツが似ているからなのかもしれない。
憎いって訳じゃないから、同属嫌悪とかじゃないだろうけど。
多分、お互いが何を望んでいるのかが分かるから、こうやって対峙しているんだろうな。
俺はアイツとこうやって、対峙する時、高揚感を感じてしまう。
ひょっとしたら、俺は、この熱く漲る胸の鼓動を感じるために、アイツと戦うのかもしれない。
アイツがどう思っているかは知らないが、俺はそうだと考えている。

 

最初に出会った時から、こうなる事は運命付けられていたのかもしれない…

僕の目の前には、僕とそっくりな男が構えて立っている。
実際はそんなに似ていないと僕は思っているのだが、よく間違えられる。
やはり、外見もさることながら、似たような能力を持っているからだろうか?
実際のところ、彼が出来る大抵の事は、僕にでもやって見せる事は出来るし、その逆もある。


そんな彼と僕とが戦う理由は特にない。
しかし、彼と僕は戦わなければならない。
恐らくそれは、彼が僕と似ているからなのかもしれない。
僕の出来る事を、同じように軽々とやって見せる相手なのだから、僕の本気を受け止められるかもしれない。
そう思うと、胸の鼓動が熱く漲る。
もしかしたら僕は、この鼓動を感じるために、彼と戦うのかもしれない。
彼がどう考えているのかは分からないが、少なくとも僕はそう思っている。

 


風は揺れて、命をも揺らす。
熱き鼓動の果てに、彼らは何を見るのだろうか…?

「テイルス、いるかー!?」

 扉をノックする暇も惜しんでソニックが飛び込んできた。舞い上がる外からの風に、開きっぱなしになっていた図面が飛んでいかないように抑える。

「な、どうしたの?」
「ちょっとオレの家まで来てくれよ!大急ぎで頼むぜ」

 そう言うと、ソニックはガレージの大扉を勢いよく開け放つ。普段なら走っていくのに、今日はトルネード号で行かなきゃならないってくらい大急ぎなのか。さっき機体ごとばらしてチェックしたのは正解だったな。
 スイッチを次々ONにして、エンジンがうなりをあげる。

「いくよ、ソニック!」
「OK! 急いで急いで!」

 その焦りっぷりがかなり切実。
 一体何があったのかな?聞きたいんだけど、聞いてるうちにもうソニックの家の上まで飛んできちゃう。トルネード号だと本当に早い。
 丘の上の小道を滑走路代わりに着陸すると、低空で飛び降りたソニックはもう家の中に入って手招きしてる。
 何か、壊れたってことかな?工具箱を手に追いかける。

「テレビが!」

 ジタバタと部屋の中で足踏みしてるソニック。
 見たいテレビ番組があるのに、どういうわけか映らない、ってことか。
 しかももうすぐ始まっちゃうか、もう始まってるか。この焦りっぷりはなんとなく理解できる。

「わかったよ。映ればいいんだよね」

 ただコクコクとうなずくだけのソニック。
 もうこれ以上詳しいことは聞けそうにない。
 かなりいじったのか、裏の配線もグチャグチャだ。それを一本ずつ巻いて結束したり、抜けかけたコードを挿していくと、大切な映像用のコードが一本ずつ左にずれてるのがわかった。
 これだと映らなくなって当然だ。ちゃんと正しい位置に戻して、うっすら積もったホコリもきれいに拭って電源を入れた。
 ぶん、と静電気が動いて、ソニックの表情がキラキラと輝いた。

「はい。直ったよ」
「THANKS!!! もうダメかと思ったぜ」

 ぴぴぴ、とソニックがリモコンをいじって、映し出された画面には、緑色の草原がどこまでも続いていた。
 ネイチャードキュメンタリーなんて、ソニックが見るとは思わなかった。
 けど、ソニックが見てるのは、渡り鳥の集団だった。その中の一羽を見つけて、テレビが直ったとき以上にホッと胸をなでおろしてる。

「テイルス、お前っていろんなもの作ったり直したりできてすごいな」
「小鳥の怪我を治してあげるよりもずっと簡単なことだよ」

 へへっと笑って、握手を交わす。

 そう。
 僕らはいろいろなものをなおす手を持ってる。

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