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毎朝しきりに鳥のさえずりがすると思っていたら、近くに巣を作っていたらしい。餌を運ぶ姿を見つけた彼が、子どもが生まれたみたいだと言ってにこにこ報告してきた。それが数日前の話。
静かな朝に小さな違和感を覚えつつ扉を開ければ、雛の亡骸を抱えた彼が立っていた。
広げた掌に収まりきってしまうほどに小さいそれを、花壇の脇に埋める。掘り起こしてできた穴に彼が骸を沿えた。花壇に咲いた一輪から、花びらを一枚だけ失敬して手向けにする。自分と顔を合わせてから土を盛り終えるまで、彼は一言も発しなかった。
シャベルを置き、汚れた手を軽く払う。その手を、無表情に花壇を見つめる彼の額に乗せた。俯きかけていた顔が僅かに上がる。視線がぶつからないようにして呟いた。
「悲しめばいい」
多くを語ることはなくとも、其処にある悲しみは瞭然だった。
額を撫ぜる端から、ぼろりと涙が溢れ出す。顔を覆うことも忘れて彼がしゃくりあげた。
「生まれた、ばっかで、まだ、羽、」
「…」
「開いてすら、なかっ、」
黙って額を撫ぜてやる。
遮るものの無い中で、彼の泣く声だけが残されていた。
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