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「がーっはっはっはぁ!大漁大漁!」
ジェット率いるバビロン盗賊団の3人は、本日の戦利品を手に藍色の中を滑空していた。
見つけた遺跡で、「お宝」を大量に発見、採取したので、リーダーのジェットもご機嫌だった。
「船に戻り次第、早速これらを詳しく鑑定しますわ」
「頼むぜ、ウェーブ」
「お宝が沢山で嬉しいワイナー、・・・んん?」
ストームが抱える宝は、愛用の麻袋に入れていたのだが・・・。
「・・・なんだか、だんだん袋が軽くなっていくような・・・」
「は?・・・ちょっと!!袋破けてるじゃない!!!」
「何ぃ?!!」
ちょうど今も、ぽろりと何かが落ちて・・・眼下に広がる暗い森へと落ちていった。
「あぁあああぁああぁぁあああああ!!!!!俺様のお宝ぁ!!!!!」
「ちょっと何してんのよトンマ!!いいからさっさと全部回収してらっしゃい!!!」
「わっ、わわわかったワイナ~!!」
「全部拾ってくるまで戻ってくんなぁぁぁぁぁ!!!!!」
ストームの麻袋には僅かしか宝が残っていなかったので、ウェーブにパスをする。
直後に元来た方向へと急降下していった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「う~ん・・・暗くて探しにくいワイナ~・・・」
日も暮れ、闇に包まれた森。この中を探すのは困難極まる。
意地でいくつかは回収したものの、全てを回収するのは少なくとも朝を待たねば・・・。
「川にでも落ちてたらお終いだワイナ・・・」
落ち込んでいる暇があるならさっさと探しやがれ!とジェットの声が聴こえてきそうだ。
予備の麻袋を持ち歩いていて良かった。少しずつだが、重さを取り戻していく。
「あ、もう一個見つけたワイナ!・・・ん?」
月夜にきらりと照らされた宝石を拾い上げてから、ふと視線が色を捉えた。
淡い光だ。空のものではなくて、人工的なもの。
こんな森の奥に・・・。どうしても気になり、こっそり歩み寄ってみた。
「・・・誰か居るのカイナ?」
「んん~?・・・お客さん~?」
けろっ、とカエルの声。
光はランプだった。目の前には湖が広がっており、ランプの持ち主・・・大きな猫が釣りをしているらしかった。
「客じゃないワイナ。お前、この辺に何か落ちてくるのを聞かなかったカイナ?」
「ええ~?・・・う~ん、ボクは聞いてないなぁ~。カエルくんはぁ~?」
けろけろ。聞いてないって。・・・意思疎通しているのだろうか。
「たっくさん落し物をしたワイナ・・・お宝を拾ったら絶対俺に渡すワイナ」
「落し物ぉ?それは大変だぁ、この森は広いからなぁ」
「もういいワイナ、釣りの邪魔をして悪かったワイナ」
「そろそろ釣りをやめようと思っていたところだよぉ。・・・良かったら、探すの手伝ってあげようかぁ?」
「え?」
「暗い中を探すのって、すっごぉーく大変だからねぇ」
よいしょ、と立ち上がり、光が揺れた。照らされた肩にはカエルと釣竿。
「・・・礼は何も出ないワイナ」
「そんなの別に要らないよぉ」
「・・・お人よしだワイナ」
けろん。カエルも同調したように聞こえ、思わず笑ってしまった。
「・・・なら、頼むワイナ」
「任せてよ~」
・・・ジェット様に後で話せば、少しはお礼をさせてくれるかもしれないワイナ。
ひとりごちて、この大きな猫のお人よしさについ微笑んだ。
全く、見ず知らずの俺に・・・。
やはり、世界にはいろんな奴が居たものだ。