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攻め、受けの争奪戦 どちらがかつのか
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ああ、この世界にも裏切られた。

メフィレスが辿り着いた世界も、彼を受け入れてはくれなそうだった。
何処へ行っても、何をしても受け入れられない。媚びてみても、破壊してみても、何も。
温もりが欲しかった。

「・・・もしもし?」

少年が声をかけた。木に凭れていたメフィレスに。
見覚えがある様にも思えたが、そんな些細な事はメフィレスには関係なかった。

顔を上げる。
少年はその顔に驚いた。彼の知っている騎士によく似ていたから。
彼は自分の持っていた鍛冶用のハンマーで、メフィレスを頭から叩き潰した。

同じ顔の人間を見たら、それは悪魔だと思えと言ったのは誰だったろう。
実際、それは闇になって、溶けて、消えた。

「悪魔・・・!!」

ブラックスミスは怯えながら、その場所を逃げ出した。

何処へ行ってもそうだった。
メフィレスは、何処へ行っても異質と言われ、その生を無理やりに終わらされた。

嗚呼、コノ世界ニモ裏切ラレタ。
声にならないごぼごぼとした音を立てて、メフィレスだったものは言った。
悲しい声にも、聞こえた。


 こいつが!こいつが俺たちの世界を滅ぼした元凶!俺はどろどろとした忌むべき感情が脳細胞を溶かしていくのを味わっていた。俺の前にはやつがいた。災厄の影、形持たぬ結晶、イブリースの片割れ、ソラリスの欠片。そう、メフィレス、メフィレス・ザ・ダーク。憎い、こいつが憎い。こいつさえいなければ。こいつさえ!!俺の発した燐光がメフィレスを完全に征服していた。ここにあるのは絶対的な力の差。それだけだ。
祈れ!死を持って平和を祈れ!お前の命の全てをささげろ!お前のために十人死んだ。お前の為に万人死んだ!お前の片割れが暗雲を呼び全てを打ち倒した。ならばお前も死ぬべきだ!俺たちの仲間と同じくして死ぬべきだ!みんなのためにお前が死ね。何回でも何回でもその身体を虫のようにのたうちまわらせてやる!それが死んだ仲間への手向けだ!

それで…。僕は誰に祈ればいいんだい?神か?それともそれに類する何かの偶像か?それでもいい。そして…手に入ったかい?君が求めた平和は、死んだ仲間は?僕は君の手によって死ぬだろう。造作もなく虫のように。君を生かす為に十人死んだ。君を偶像とした祈りに何人死んだ?その異能の力に何人死んだ。

うるさい!殺したのはアンタだろう!

いいや違うね。殺したのは僕達の意思だ。だが死んだ原因は君にあるんだ。シルバー。彼らを引き連れて、僕らを追ったのは。怒りをあらわにして、平和を歌いながら死地へと誘ったのは君だよシルバー。

俺は!俺は!!

祈ればいい…その神とやらに。君の罪を許してくれって、何度も何度もしつこく頭を下げて。許してください。許してくださいって。なきながら祈れば良いじゃないかシルバー。祈っても祈っても。君の罪は晴れることはない…。






空が晴れていく。片割れであるイブリースもどこかへと消えていく。あれだけあったどろどろも嘘のようにどこかへいってしまった。しかしそれとは別に冷たく硬いものが沈んでいく感触をいつまでも味わって
いた。

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任務ノ途中デ、ワタシハ大変ナ落シ物ヲ拾ッテシマッタ。

 

「チースが・・・チーズが迷子になっちゃったんデスぅー・・・」

大きな目からぽろぽろと雫を零す幼い子ども。
何故、こんな廃屋にいるのか・・・。

『オメガ、どうした?状況の報告を』
「シャドウ、迷子ヲ拾ッタ」
『・・・迷子だと?』
「チーズ・・・どこデスかー・・・!」

その声を聞いて愕然としたらしい。短気な相方は、一度連れて戻って来いと言うなり、ぶちん、と通信を切ってしまった。

「オメガさん、チーズを一緒に探してくだサイ・・・!」
「ドウシタモノカ・・・」

チーズというのは確か、いつも一緒に居るチャオのはずだ。
探してやりたいのも山々だが、どうしたってこのまま連れて進むわけには行かない。シャドウにも戻って来いと言われたし。
そもそも、どうやってこんな郊外の廃れた場所に迷い込んだやら。

「チーズ・・・無事でいてくだサイ・・・!」

少女は心配で胸が張り裂けそうなのだろう。必死に祈っているようだった。

「・・・オマエハ一度シャドウノ元ヘ連レテイク。ワタシガソノちーずトヤラヲ探シテ戻ルカラ、オトナシク待ッテイロ」

それしかない。機械の手でそっと持ち上げ、頭に乗せた。

「クリーム、落チナイヨウニ気ヲツケロ」
「は、はい・・・」

とりあえず、こんな子どもを連れていては戦闘など出来やしない。
戻る間にも厄介なことが起きないよう祈るばかりだ。












月日が流れるのは早いものだと、今更ながらに思い知らされる。
あの時ほんの少しだけ言葉を交わした相手は、今や世界の英雄と肩を並べる存在になっていた。
自由奔放な青色のハリネズミとは正反対に、その名前の如く表立って行動するような人物ではなく、
新聞にもニュースにも、その名前があげられることなど皆無に等しい。



それでも、自分は知っていた。

否、覚えている。

彼がどんな選択を行って、どんな道を歩んで来たのかを。






「なあ、シャドウ……お前さんは、今のこの暮らしに満足してるのかい?」

再会したのは、偶然と言っても過言では無かった。自分も相手も、丁度同じ場所に居合わせただけ。
街の少し郊外に鎮座する、知る人ぞ知る小さなカフェ。
まさか出会うとも思わなかった存在に出会った瞬間の相手の凍り付いたような表情は、
いっそ写真に撮っておけば良かったと今更後悔が浮かんだ。
きっとソニックに見せたら、腹を抱えて笑い転げるだろうに。

平静を装っている相手のテーブルには、今月の新作と香り高いアールグレイ。
片や自分と言えば、既におなじみとなった珈琲一杯だけ。
そのあまりの違いに、苦笑すら浮かんでくる。
こちらの質問にもならない問いかけに、相手は少々眉を顰めた。
傾けていたカップをソーサーに置く仕草は優雅だった。カチャリ、と陶器が涼やかに触れ合う。



「………満足もなにも、これは僕自身の意志で決めたことだ。
たとえGUNの実験動物だと、狗だと罵られようとも」
「しっかし……人類のことを一番考えてるのは、お前さんだと思うんだがなぁ」

未だに戦争の報道が消えることはない。
その血腥い場所に立ち尽くしているその漆黒の姿は、その身に纏う紅よりも赤い深紅に染まるのだろう。
落ちきらないその香りと、いくら拭っても消えない血液の痕跡。
それらを一番厭っている存在が、絶対的な力でもって他人の命を奪うのか。

……やりきれない。
きっと自分なら、初めから放り投げてしまうだろう。
自分の身が可愛くない奴など、世界中何処を探しても存在しない。
その役目をあえて引き受けるこの男のその覚悟は、どれほどだったのだろう。

「…用がないのなら失礼させてもらう」
「……また、行くのか」
「仕方ない、これが、役目だというのなら。
僕の意志で、それに従っているのだから」

遠くなってしまった、とひとりごちる。






冷えたカップの中身を口にすれば、
臓腑に苦みが染み渡っていった。






ソニック&マリーナ


ドライフラワーさ。これならいつまでも枯れないぜ。

「信じられない」

 灼熱の炎が城を包みながらも、震えが止まらない。
 城壁はすでに半分が崩れ、今も低い地鳴りを伴う振動が足もとから這いあがってくる。
 何が、彼を、王を、狂わせたのか。
 剣を握りしめ生存者を捜す。
 けれど、瓦礫ばかりのかつての庭には、潰れた遺体や肉片ばかりが転がっており、正常な死、戦いがあったとは到底思えない。

「…パーシヴァ…」

 僅かに聞こえた呼び声。
 白い石畳に魔方陣が薄い燐光で浮かび、王宮魔術師のマリーナが姿を現した。
 彼女も、満身創痍の出で立ちだった。
 魔法が途切れると糸の切れたマリオネットのようにぐったりと地に伏せる。

「マリーナ、これはどういうことだ。これではまるで…」
「前のアーサー王と同じ…です」

 地底から闇を呼び寄せ、その黄泉の力が解放された。
 それを封じるために、彼はカリバーンと共に挑んだのだ。

「王は、敗れました。自らを制する力を闇に奪われたのです」

 白い竜巻が瓦礫を巻き上げ始めた。
 赤い稲妻が未だ残る塔に次々と落ちてゆく。
 パーシヴァルが見上げた空を、黒い槍が引き裂いてゆく。

「王よ! ソニック殿! 私は信じない! あなたはこの国を滅ぼす者ではなかったはずだ!」

 パーシヴァルの叫びが届いたのだろう。
 黒い槍が上空にぴたりと止まる。
 いつもの、優しく、慈悲に満ちた、自由の王は、昏い闇を背負って、パーシヴァルを見下ろしている。

「私は知っている。あなたが、どれほど人を、民を、仲間を愛しておられるか」
「残念だ。パーシヴァル」

 空から降ってきた言葉は、生きている者の心を凍りつかせた。

「オレの、真実なんて、誰も」

 笑っている。けれど、こんな悲しい微笑みをパーシヴァルは今まで見たことがなかった。
 消えてゆく意識の中、パーシヴァルは思い知る。
 死して、王のそばに侍ることで、王が癒されるのであればそれでいい。

 真実の孤独は、彼が背負っている。
 知らずにいた。
 知らずに…。

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